銅合金 C706(Nickel Silver:ニッケルシルバー/洋白)は、主に銅(Cu)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)からなる銅合金です。本合金には銀(Ag)は含まれませんが、銀のような明るい外観と優れた特性を持つことから「ニッケルシルバー」と呼ばれます。銅合金 C706 は、耐食性、強度、耐久性のバランスが良く、外観品質と性能の両方が求められる用途で広く採用されています。特に、電子機器、自動車、海洋分野などで高性能部品の製造に用いられ、CNC機械加工サービス においても人気の高い材料です。
銅合金 C706 は、機械用途・電気用途・装飾用途に対応できる特性を備え、精密加工部品に適しています。CNC加工銅合金 C706 部品は、電気コネクタ、海洋用継手、自動車部品など、高い強度と耐食性が求められるコンポーネントに使用されます。
元素 | 含有量範囲(重量%) | 主な役割 |
|---|---|---|
銅(Cu) | 55.0–65.0% | 強度と耐食性の基盤となる母材 |
ニッケル(Ni) | 10.0–20.0% | 強度・耐摩耗性・耐食性を向上 |
亜鉛(Zn) | 20.0–30.0% | 強度と硬さを向上 |
特性 | 代表値 | 試験規格/条件 |
|---|---|---|
密度 | 8.5–8.9 g/cm³ | ASTM B311 |
融点 | 1,050°C | ASTM E29 |
熱伝導率 | 120 W/m·K(20°C) | ASTM E1952 |
電気伝導率 | 15–20% IACS(20°C) | ASTM B193 |
線膨張係数 | 17 µm/m·°C | ASTM E228 |
比熱容量 | 380 J/kg·K | ASTM E1269 |
弾性率 | 105 GPa | ASTM E111 |
特性 | 代表値 | 試験規格 |
|---|---|---|
引張強さ | 400–650 MPa | ASTM E8/E8M |
耐力(0.2%) | 300–450 MPa | ASTM E8/E8M |
伸び | 15–25% | ASTM E8/E8M |
硬さ | 100–130 HB | ASTM E10 |
疲労強度 | 約200 MPa | ASTM E466 |
耐衝撃性 | 良好 | ASTM E23 |
注:上記は焼鈍状態の銅合金 C706 の代表値であり、実際の数値は加工条件・熱処理条件により変動する場合があります。
銅合金 C706 は海洋環境や工業環境などの過酷条件でも腐食しにくく、長期使用に適した材料です。
純銅よりも強度と靭性が高く、ギア、ブッシング、コネクタなど高応力用途に適しています。
ニッケル成分が耐摩耗性を向上させ、摩擦や繰り返し荷重を受ける用途で安定した性能を発揮します。
明るい銀白色の外観を持つため、装飾用途(アクセサリー、トリム、楽器部品など)にも選ばれます。
成形・加工がしやすく、複雑形状や精密寸法が求められるCNC加工部品に適しています。
強度が高い分、切削抵抗が増加し、工具摩耗や加工効率低下につながる場合があります。
対策:超硬またはコーティング超硬工具を使用し、切削速度を抑えつつ適切な冷却で工具摩耗を低減します。
硬さと靭性により、特に高速加工では工具摩耗が進行しやすくなります。
対策:高性能コーティング工具の採用、工具点検の定期化、摩耗が進む前の交換で安定加工を維持します。
糸状の長い切りくずが発生しやすく、切りくず絡みや加工面の荒れを招く場合があります。
対策:チップブレーカを使用し、送り条件を調整して切りくず処理性を改善します。クーラントで排出性を補助します。
加工条件が不適切な場合、加工硬化が起こり後工程が難しくなることがあります。
対策:切削速度を下げ、刃先を鋭利に保ち、十分な冷却(高圧クーラント等)で加工硬化を抑制します。
パラメータ | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
工具材質 | 超硬工具 または セラミック工具 | 耐摩耗性が高く、安定加工に有利 |
工具形状 | 正のすくい角、鋭利な刃先 | 切削抵抗を低減し、切りくず排出を改善 |
切削速度 | 150–250 m/min | 過度な発熱を抑え、工具寿命を確保 |
送り | 0.10–0.20 mm/rev | 安定切削と形状維持に有効 |
クーラント | 高圧クーラント または エアブロー | 発熱抑制と切りくず排出、面品位向上に有効 |
加工工程 | 切削速度 (m/min) | 送り (mm/rev) | 切込み深さ (mm) | クーラント圧力 (bar) |
|---|---|---|---|---|
荒加工 | 150–200 | 0.15–0.25 | 2.0–3.5 | 30–40 |
仕上げ加工 | 200–250 | 0.05–0.10 | 0.5–1.0 | 35–50 |
加工プロセス | 銅合金 C706(洋白)における機能・利点 |
|---|---|
高い強度と耐食性を活かし、コネクタ、ブッシング、ギアなどを高精度に加工できます。 | |
過酷環境向けの継手やコネクタ用の溝・スロット・ポケット加工に最適です。 | |
バルブ部品や機械部品など、円筒形状の高精度加工に適しています。 | |
締結部品や電気端子向けの高精度穴加工に使用されます。 | |
ブッシングなどの内径部を厳しい公差で仕上げるのに適しています。 | |
摩擦を受ける部品(ギア、ブッシング等)に対し、滑らかな仕上げ面を実現します。 | |
航空宇宙・産業用途の複雑形状/多面加工部品を少工程で高精度に加工できます。 | |
機械・電気用途など厳しい寸法精度が要求される部品で、超精密公差に対応します。 | |
自動車・航空宇宙部品の微細形状や複雑形状の加工に適しています。 |
電解めっき: ニッケルまたは金めっきを付与し、耐食性を向上。電気コネクタや継手に適します。
研磨: 光沢のある滑らかな表面を実現し、外観品質と機能性(接触部品など)を改善します。
ブラッシング: サテン調の均一な仕上げで、意匠性と耐食性の両立に有効です。
PVDコーティング: 耐摩耗性を高め、高摩擦・高荷重用途の表面寿命を延長します。
パッシベーション: 合金の耐食性を補強し、海洋・屋外環境での安定性を向上させます。
粉体塗装: 厚膜の保護コーティングにより、耐UV・耐薬品・耐傷性を向上させます。
テフロンコーティング: 低摩擦・耐薬品性の層を付与し、摺動部や薬品雰囲気に適します。
クロムめっき: 耐食性と光沢仕上げを両立し、工業用途・装飾用途の双方に有効です。