銅合金 C630(Aluminum Bronze:アルミニウム青銅)は、高強度の機械特性と優れた耐食性を兼ね備えた高性能銅合金です。合金中のアルミニウム添加により強度が大きく向上し、高荷重用途により適した材料となります。銅合金 C630 は、引張強さ、耐摩耗性、耐食性が重要となる産業で広く使用され、過酷環境下でも高い耐久性が求められる部品の製作において、CNC機械加工サービス で採用されることが多い材料です。
銅合金 C630 は、特に海水中での耐食性に優れ、強度と耐食性のバランスが良い点が特長です。そのため、海洋、航空宇宙、産業機械分野に適しています。CNC加工銅合金 C630 部品は、重荷重ギア、バルブ部品、海洋機器部品、高強度ファスナーなどに使用されます。
元素 | 含有量範囲(重量%) | 主な役割 |
|---|---|---|
銅(Cu) | 85.0–90.0% | 強度と耐食性の基盤となる母材 |
アルミニウム(Al) | 7.0–10.0% | 強度・硬さ・耐食性を向上 |
鉄(Fe) | 1.0–3.0% | 耐摩耗性と硬さを向上 |
ニッケル(Ni) | 0.5–2.5% | 強度と耐食性を改善 |
マンガン(Mn) | 0.5–1.5% | 結晶粒を微細化し、強度を向上 |
特性 | 代表値 | 試験規格/条件 |
|---|---|---|
密度 | 8.7 g/cm³ | ASTM B311 |
融点 | 1,080°C | ASTM E29 |
熱伝導率 | 60 W/m·K(20°C) | ASTM E1952 |
電気伝導率 | 10–15% IACS(20°C) | ASTM B193 |
線膨張係数 | 16.5 µm/m·°C | ASTM E228 |
比熱容量 | 380 J/kg·K | ASTM E1269 |
弾性率 | 110 GPa | ASTM E111 |
特性 | 代表値 | 試験規格 |
|---|---|---|
引張強さ | 520–620 MPa | ASTM E8/E8M |
耐力(0.2%) | 400–500 MPa | ASTM E8/E8M |
伸び | 15–25% | ASTM E8/E8M |
硬さ | 180–220 HB | ASTM E10 |
疲労強度 | 約250 MPa | ASTM E466 |
耐衝撃性 | 良好 | ASTM E23 |
注:上記は焼鈍状態の銅合金 C630 の代表値であり、実際の値は加工・熱処理条件により変動する場合があります。
銅合金 C630 は一般的な銅合金よりも強度・硬さが高く、重荷重用途に適しています。
アルミニウム添加により耐食性が向上し、特に海水や腐食性の高い環境で優れた性能を発揮します。
アルミニウム、鉄、ニッケルの組み合わせにより耐摩耗性が高く、摩耗が激しい用途に適しています。
純銅より高強度である一方、複雑形状の機械加工や成形、溶接が比較的行いやすい材料です。
標準的な銅合金に比べて衝撃に強く、高応力・重負荷条件でも安定した性能を維持します。
銅合金 C630 は高強度のため、切削・穴あけなどで加工負荷が大きくなりやすい材料です。
対策:超硬工具を使用し、切削速度を下げ、十分なクーラント供給で発熱と摩耗を抑えます。
硬さが高いため、高速切削では工具摩耗が進行しやすい傾向があります。
対策:超硬やセラミックインサートなど高性能工具を用い、工具形状を最適化して耐摩耗性を確保します。
長く糸状の切りくずが発生すると、仕上げ面品質の低下や加工安定性の悪化につながります。
対策:チップブレーカを活用し、送り条件を調整してチップコントロールと仕上げ品質を向上させます。
多パス加工や重切削では加工硬化が発生し、後工程の加工性が低下することがあります。
対策:切削速度を低めに設定し、冷却を十分に行って加工硬化の影響を低減します。
パラメータ | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
工具材質 | 超硬工具 または セラミック工具 | 耐摩耗性が高く、工具寿命を延長 |
工具形状 | 正のすくい角、鋭利な刃先 | 切りくず排出性を改善し、溶着を低減 |
切削速度 | 100–150 m/min | 工具摩耗を抑え、過度な発熱を防止 |
送り速度 | 0.10–0.15 mm/rev | 安定した切削を確保し、バリ発生を抑制 |
クーラント | 高流量クーラント または エアブロー | 発熱抑制と仕上げ面の改善に有効 |
加工工程 | 切削速度 (m/min) | 送り (mm/rev) | 切込み深さ (mm) | クーラント圧力 (bar) |
|---|---|---|---|---|
荒加工 | 100–150 | 0.15–0.25 | 2.0–3.5 | 30–50 |
仕上げ加工 | 150–200 | 0.05–0.10 | 0.5–1.0 | 35–50 |
加工プロセス | 銅合金 C630(アルミニウム青銅)における機能・利点 |
|---|---|
バルブ、ブッシングなどの高精度・厳しい公差の加工に適しています。 | |
海洋・産業用途部品で用いられる溝加工や段付き形状を高精度に製作します。 | |
シャフト、軸受部品など円筒形状部品を高い同軸度で加工できます。 | |
締結部品や流体ライン用の穴加工に適し、安定した穴品質を確保します。 | |
ベアリングやブッシング向けの内径を高精度に仕上げます。 | |
ギアやスリーブなど荷重部品に対して高品質な表面仕上げを実現します。 | |
航空宇宙・海洋用途の複雑形状部品を少工程で高精度に加工できます。 | |
厳しい寸法公差が求められる機械部品の信頼性を高めます。 | |
航空宇宙・産業用途での微細形状や複雑特徴の加工に使用されます。 |
電解めっき: 海洋・産業用途の耐食性向上のため、ニッケルまたは金めっきを付加します。
研磨: 滑らかな研磨面を形成し、外観品質と機能性を向上させます。
ブラッシング: サテン仕上げにより外観性を高め、産業部品にも適した表面を提供します。
PVDコーティング: 表面硬さ・耐摩耗性を高め、重荷重部品の寿命を延ばします。
パッシベーション: 耐食性を改善し、海洋環境での信頼性を向上させます。
粉体塗装: 耐食性、耐UV性、耐薬品性に優れた保護層を形成します。
テフロンコーティング: 低摩擦・耐薬品性の層を付与し、薬品・摺動環境に対応します。
クロムめっき: 光沢と耐久性を付与し、耐食性と外観品質を向上させます。