日本語

銅 C260(黄銅)

銅 C260(黄銅)は高い強度と優れた被削性、良好な耐食性を備えた銅合金で、適度な強度、導電性、耐久性が求められる CNC 加工用途に最適です。

黄銅 C260(カートリッジブラス)の概要

銅 C260 は、一般にカートリッジブラス(Cartridge Brass)として知られる汎用性の高い黄銅合金で、主成分は銅 70%・亜鉛 30% です。本合金は優れた被削性、良好な耐食性、そして純銅より高い強度のバランスを備えています。中程度の強度と一定の導電性が求められる用途に適しており、たとえば電気コネクタ、配管部品、自動車部品などで広く使用されます。見た目の美しさと実用性を両立できるため、装飾用途から機能部品まで幅広く対応できます。

黄銅 C260 は加工性が高く、複雑形状への成形性にも優れ、さらに良好な表面仕上げが得られることから、CNC 加工でよく選定されます。製造、オートモーティブ、航空宇宙、エレクトロニクスなど、性能と安定供給が重視される分野で、CNC 加工黄銅部品の材料として有力です。

黄銅 C260 の化学特性・物理特性・機械特性

化学成分(代表値)

元素

含有量(wt.%)

主な役割

銅(Cu)

70%

電気・熱伝導性の確保、延性の付与

亜鉛(Zn)

30%

強度・硬さの向上、耐食性の補強

その他元素

≤0.5

特性への影響が小さい残留元素

物理特性

特性

代表値

試験規格/条件

密度

8.5 g/cm³

ASTM B311

融点

900°C

ASTM E29

熱伝導率

20°C で 120 W/m·K

ASTM E1952

電気伝導率

20°C で 28% IACS

ASTM B193

線膨張係数

19.0 µm/m·°C

ASTM E228

比熱容量

380 J/kg·K

ASTM E1269

ヤング率

110 GPa

ASTM E111

機械特性(焼なまし材)

特性

代表値

試験規格

引張強さ

380–550 MPa

ASTM E8/E8M – 全断面試験片

耐力(0.2%)

275–380 MPa

ASTM E8/E8M – オフセット法

伸び

35–50%

ASTM E8/E8M – ゲージ長 = 50 mm

硬さ

70–85 HB

ASTM E10 – ブリネル硬さ(10 mm 球/500 kg 荷重)

疲労強さ

~240 MPa

ASTM E466 – 回転曲げ疲労(10⁷ 回)

衝撃抵抗

良好

ASTM E23 – V ノッチ、室温

注:これらの値は焼なまし状態の黄銅 C260 の代表値であり、加工条件や製造条件により変動する場合があります。

黄銅 C260 の主な特長

高い強度と耐久性

黄銅 C260 は純銅より高い引張強さを持ち、機械特性が求められる用途に適します。引張強さ 380–550 MPa の範囲で、オートモーティブ部品、電気端子、締結部品などの要求に対応可能です。

優れた成形性・被削性

黄銅 C260 は被削性に優れ、CNC 加工で複雑形状を作りやすく、厳しい公差も維持しやすい材料です。コネクタ、バルブステム、ねじ、継手など、精密かつ量産性が求められる部品に適しています。

耐食性

黄銅 C260 は淡水・海水環境を含むさまざまな環境で良好な耐食性を示します。配管、マリン、電気用途など、長期信頼性の観点で耐食性が重要な部品に有効です。

中程度の電気・熱伝導性

純銅ほどの導電性はありませんが、電気伝導率 28% IACS の中程度の導電性と、実用的な熱伝導性を備えます。強度と導電性の両立が必要な電気コネクタや放熱関連部品に適しています。

外観性と仕上げ性

黄銅 C260 は黄金色の外観を持ち、装飾用途(アクセサリー、金物、意匠部品など)にも適します。研磨や各種表面仕上げがしやすく、光沢のある美しい外観品質を得やすい点も特長です。

黄銅 C260 の CNC 加工における課題と解決策

加工上の課題

加工硬化

黄銅 C260 は加工時に加工硬化が起きる場合があり、後工程の加工性低下、工具摩耗の増加、表面品質への影響につながることがあります。

  • 解決策:シャープな工具を使用し、過度な塑性変形を避けます。切削速度を下げ、十分なクーラントで発熱を抑え、加工硬化を低減します。

切りくず生成

黄銅 C260 は長い切りくずが発生しやすく、切りくず処理が加工の安定性を左右することがあります。

  • 解決策:チップブレーカを使用し、クーラント流量を安定させて切りくず排出を促進します。切りくず巻き付きによる加工阻害を防止します。

工具摩耗

被削性は良好ですが、高速加工条件では工具摩耗が進行する場合があります。

  • 解決策:TiAlN などのコーティング付き超硬工具を使用して摩耗を抑制し、切削速度・送りを適切に管理します。

最適化された加工戦略

工具選定

パラメータ

推奨

理由

工具材質

TiAlN コーティング付き超硬工具

工具寿命を延ばし、摩耗を低減

工具形状

正のすくい角、シャープな刃先

切りくず排出を改善し、付着を抑制

切削速度

200–300 m/min

過度な発熱を抑え、工具寿命に寄与

送り

0.15–0.25 mm/rev

安定した切削で変形を抑制

クーラント

フラッドクーラント または エアブロー

発熱低減と切りくず排出を支援

黄銅 C260 切削条件(ISO 513 準拠)

加工

速度(m/min)

送り(mm/rev)

切込み(mm)

クーラント圧(bar)

荒加工

180–220

0.10–0.20

2.0–3.5

25–40(フラッドクーラント)

仕上げ加工

250–300

0.05–0.10

0.5–1.0

30–50(フラッドクーラント)

黄銅 C260 の代表的な加工サービス

黄銅 C260 は、精密加工と機械強度が求められる部品に適しており、多様な CNC 加工プロセスで活用できます。代表的な加工サービスは以下の通りです。

加工プロセス

黄銅 C260 への適合性

CNC 加工

導電性と強度が必要な電気コネクタ、ファスナー、精密部品の製造に最適

CNC フライス加工

平面、ポケット、複雑形状を高精度に加工可能

CNC 旋削加工

棒材、パイプ、ねじ部品など円筒形状部品に最適

CNC 穴あけ加工

黄銅部品のバリを抑えた精密穴加工に適合

CNC 中ぐり加工

厳しい公差と滑らかな面が必要な穴拡大加工に最適

CNC 研削加工

優れた表面仕上げと厳しい寸法公差を実現

多軸加工

複雑形状を 1 回の段取りで加工し、精度と効率を向上

精密加工

各産業の重要部品向けに、最も厳しい公差要求へ対応

放電加工(EDM)

従来加工が難しい微細形状・高精度形状の加工に最適

黄銅 C260 CNC 部品向け表面処理

黄銅 C260 の産業用途

  • 自動車: エンジン周辺部品、電気端子、コネクタなど、強度・耐食性・一定の導電性が必要な高性能部品に使用されます。

  • 電気・配電: 強度と導電性の両立が必要な、電気コネクタ、バスバー、端子などに使用されます。

  • 配管・金物(プランビング/ハードウェア): 水栓、バルブ、継手などの配管部品や、意匠性と耐久性が求められる装飾金物に適しています。

関連ブログを探索

Copyright © 2026 Machining Precision Works Ltd.All Rights Reserved.