現代の自動車用油圧システムでは、厳しい圧力条件下でも性能を維持できる、高精度・高強度・耐食性を兼ね備えたコンポーネントが求められます。あるティア1自動車メーカーは、ブレーキやステアリングなどの高圧油圧回路に使用するカスタムステンレス油圧部品の量産に向けて、Newayとパートナーシップを結びました。これらの部品は、高圧流体回路内でのタイトな嵌合を前提に設計されており、シール性と寸法精度が最重要要件でした。
材料には304ステンレス鋼が採用されました。これは、引張強さ(約505 MPa)、油圧作動油環境での優れた耐食性、そして量産時のコストパフォーマンスのバランスに優れているためです。お客様の図面には、複雑な外形プロファイル、シール面、厳しい内部公差が指定されており、それらを実現する最適な手段としてCNC旋削・フライス加工の組み合わせが選定されました。
まず、複雑な外形プロファイル、取付面、ハウジング形状を形成するために、CNCフライス加工サービスを適用しました。高精度3軸・4軸マシニングセンターを用い、外側の嵌合部や重要な基準面については、±0.05 mmの公差範囲内に収まるよう加工条件を管理しました。
続いて、シール用ボア、ねじ部、精密な円筒嵌合部を生成するために、ステンレス鋼CNC旋削サービスを適用しました。最適化されたツールパスと剛性の高いチャッキング・治具構成により、シールボアやOリング溝などの重要箇所では±0.01 mmの公差、表面粗さRa 0.8 μmまでの仕上げを実現し、油圧シールに求められる表面品質を確保しました。

長期的な耐食性を保証するため、すべてのコンポーネントに対してパッシベーション処理を実施しました(詳細は当社の「パッシベーション処理ガイド」を参照)。このプロセスにより、表面に残留している遊離鉄分を除去し、均一なクロム酸化皮膜を形成します。処理後の部品はISO 9227に準拠した塩水噴霧試験で96時間以上の耐性を示し、いかなる腐食不良も認められませんでした。
各部品は、加工中および出荷前において、校正済み測定機器によるインプロセス検査と最終検査を受けました。主な測定項目は以下のとおりです。
測定項目 | 要求公差 | 検査方法 |
|---|---|---|
シールボア径 | ±0.01 mm | CMM、ボアゲージ |
フライス加工フランジの平面度 | ≤ 0.03 mm | 御影石定盤による測定 |
ねじピッチ精度 | ISO 6g基準適合 | ねじゲージ |
表面粗さ | Ra ≤ 0.8 μm | 表面粗さ計(プロフィロメータ) |
ロット検査はAQL 0.65基準で実施され、初品についてはFAI(First Article Inspection)レポートを作成し、お客様承認を取得しました。
完成部品を車両の油圧システムに組み込んだ後、100 barのシステム圧試験において、カスタム油圧部品はシール部からの漏れゼロという結果を達成しました。さらに、寸法ばらつきが低減されたことで組立性が向上し、お客様の組立ラインでは約15%の組立時間短縮が報告されています。その成果に基づき、Newayは同社ブレーキシステム部門における追加シリーズ生産の優先サプライヤーとして選定されました。
ワンストップCNC加工サービスとして、材料調達・加工・パッシベーション・品質検査レポートまで一括対応が可能です。
ステンレス鋼のCNC旋削・フライス加工に深い実績があり、油圧シールにとって重要な高精度公差・クリーンな内部形状を安定して実現します。
自動車業界向けソリューションの経験が豊富で、フルードコントロール部品、ブラケット、バルブ、フィッティングなどの精密部品を高い信頼性で供給してきた実績があります。
自社内品質管理とトレーサブルな生産体制により、すべてのコンポーネントがISO 9001:2015およびお客様固有のドキュメント要求を満たすよう保証しています。