加工公差を理解する：CNC部品を注文する前に購入者が知っておくべきこと
カスタムCNC加工部品を発注する際、加工公差の理解は非常に重要です。 公差は、部品の嵌合性・性能・コスト・リードタイムに直接影響し、とくに精度が絶対条件となる 航空宇宙・医療・自動車産業では欠かせない要素です。 本ガイドでは、加工公差とは何か、その定義と、CNC製造向けに公差を指定する際にバイヤーが 押さえておくべきポイントを解説します。
加工公差とは？
CNC加工における公差とは、図面で指定された基準寸法（理想値）から許容される寸法のばらつき範囲を指します。 どんな製造プロセスでも、毎回まったく同じ寸法を実現することはできないため、 公差によって許容される上限値・下限値を定義します。
例えば、直径 Ø10.00 mm ±0.02 mm と指定されたシャフトの場合、 実際の測定値が 9.98 mm から 10.02 mm の範囲であれば許容されます。 この公差範囲により、相手側の穴に対してガタつき過ぎず、きつ過ぎない適切な嵌合が確保されます。
公差は、とくに複数の部品を別工程で製造し、その後に組み立てる場合において、 互換性・機能性・再現性を保証するうえで極めて重要です。
CNC加工でよく使われる公差の種類
加工公差は大きく「寸法公差」と「幾何公差（GD&T）」に分類されます。 精密部品の設計・指定を行う際には、その両方を理解しておく必要があります。
寸法公差：
線形公差：長さ・幅・板厚などに適用される公差
径公差：シャフト、ピン、穴などの直径に対する公差
角度公差：指定角度からの許容偏差を定義する公差
幾何公差（GD&T）：
平面度：基準を持たない単一の面の平坦さを管理
平行度：2つの面が全長にわたり一定の距離を保つことを保証
真円度・円筒度：円筒形状の丸さと軸方向の真直度を管理
位置度：穴やスロットなど、形状の許容位置偏差を定義
同心度・振れ：シャフトや穴の回転中心のずれを管理
Newayは、精密CNC加工サービスを通じて、 GD&Tに完全対応した製造と高度な検査を提供しており、航空宇宙・ロボティクス・医療分野など、 高公差要求のアプリケーションに対応しています。
CNC加工における標準公差グレード
加工公差は、ISO 2768 や ASME Y14.5 などの国際規格に基づいて設定されることが一般的です。 これらの規格は、図面上で個別に公差が記載されていない寸法に対する一般公差クラスを定義しています。
ISO 2768-1 によると、0.5 mm〜30 mmの寸法に対して、以下のような一般公差が適用されます：
公差クラス | 代表的な線形公差 | 主な適用分野 |
|---|---|---|
ISO 2768-f（精級 / Fine） | ±0.05 mm | 航空宇宙、光学機器 |
ISO 2768-m（中級 / Medium） | ±0.10 mm | 自動車、一般機械組立 |
ISO 2768-c（粗級 / Coarse） | ±0.20 mm | 構造部品・非重要部品 |
Newayでは、多くのCNC加工サービスにおいて 標準で ±0.10 mm もしくはそれより良い公差を提供しています。 また、超精密用途では CMM（座標測定機）による検証付きで ±0.005 mm まで対応可能です。
公差がコストとリードタイムに与える影響
タイトな公差を指定すると、専用工具の使用、切削速度の低減、高度な検査が必要となり、 結果として製造時間とコストが増加します。公差が厳しくなるほど、許容範囲が狭くなるため、 不良・廃棄リスクも高くなります。
例えば：
±0.10 mm の公差：基本的な工具パスと簡易検査で対応可能
±0.05 mm の公差：精密加工と部分的なCMM検査が必要
±0.01 mm 以下の公差：恒温環境、高精度測定機、専用工具が必須
概算のコストへの影響：
±0.10 mm の加工：基準コストを 1.0× とした場合
±0.05 mm の加工：1.5～2.0× 程度に上昇
±0.01 mm の加工：3.0× 以上になるケースも多い
Newayのエンジニアリングチームは、DFM（Design for Manufacturability）コンサルティングを通じて、 性能要件と予算の両立を図れる公差選定をサポートします。
タイトな公差と緩い公差の使い分け
公差は、各寸法が担う機能に基づいて設定すべきです。 必要以上に厳しい公差（オーバースペック）は製造コストを無駄に引き上げ、 逆に緩すぎる公差は組立性や性能の問題を引き起こす可能性があります。
タイトな公差（±0.01〜0.03 mm）を適用すべき例：
圧入シャフトやベアリング穴
油圧・空圧シール面やシール溝
医療用器具・外科用ツール
高精度な位置決めが必要な航空宇宙用ブラケット
標準～緩い公差（±0.05〜0.20 mm）で良い例：
カバー板や筐体（ハウジング）
取付けフランジ
外観重視の非嵌合部や装飾部品
Newayでは、図面レビューとDFMを通じて、使用目的・相手部品・業界基準に基づいた最適な公差を提案します。
公差付き寸法の検査と品質管理
タイトな公差には、高精度で再現性のある測定手法が不可欠です。 Newayの品質管理では、以下のような設備・手法を活用しています：
座標測定機（CMM）：±2 µm の精度でGD&Tおよびタイト寸法を検証
光学式プロファイル投影機：輪郭を拡大表示して公差を視覚的に確認
デジタルノギス・マイクロメータ：±0.01 mm 精度でのルーチン検査
ピンゲージ・内径ゲージ：穴径や内径形状の確認
ゲージ（Go/No-Go）：臨界寸法の合否を素早く判定するための限界ゲージ
Newayは、材料証明書・検査報告書・FAI（初品検査）など、 規制産業の要求に応じた完全なドキュメントにも対応しています。
図面で公差を指定する方法
曖昧さや手戻りを避けるためには、図面上で公差要件を明確に伝えることが重要です。 以下の点を推奨します：
タイトルブロックに一般公差クラス（例：ISO 2768-m）を明記する
重要寸法には、寸法のすぐ横に個別公差を必ず記載する
幾何公差が必要な箇所には、適切なGD&T記号と基準（データム）を使用する
シール面や光学部品などには、表面粗さ・仕上げ要件も明記する
2D図面なしでSTEPやIGESなどの3Dモデルのみを支給する場合は、 「特に指定のない寸法公差：±0.10 mm」などの一般公差に関する注記を別紙PDFで添付するのが理想的です。
見積（RFQ）プロセスの中で、公差に矛盾や不明点がある場合、 Newayの見積チームが事前に確認を行い、コストの増大や納期遅延を未然に防ぎます。
Newayによる公差最適化サポート
Newayは、アルミ・ステンレス・チタン・銅・プラスチック・セラミックなど 幅広い材料に対してカスタムCNC加工ソリューションを提供しています。 工場では、高精度な多軸CNC加工、 EDM放電加工、 社内CMM検査設備を備えています。
お客様に対して、次のような支援を行います：
2D/3Dデータをレビューし、過度に厳しい（オーバースペックな）公差の洗い出し
H7/g6 などの公差域・嵌合方式や、適切な一般公差クラスの提案
量産／小ロットに応じて、性能とコストのバランスを最適化
トレーサブルなドキュメントとともに、最も厳しい品質要求への適合
航空宇宙・医療機器・自動化設備・民生電子機器など多様な業界での経験により、 実際の使用環境に即した、公差設計と製造の両面からのサポートが可能です。
まとめ
加工公差の理解は、部品性能の確保とコスト効率の両立に不可欠です。 バイヤーは、部品の機能に応じた公差を設定し、ISO 2768 や ASME Y14.5 などの規格を活用しつつ、 CNCパートナーと協力して設計最適化を図ることが重要です。
Newayは、高度な加工能力・材料知識・精密検査体制を組み合わせることで、 必要以上でも以下でもない「ちょうど良い精度」で部品を製造します。
まずはCNC加工サービスをご覧いただくか、 公差レビューの無料相談についてエンジニアリングチームまでお問い合わせください。
