超合金の加工には、単一の「スーパーアロイ」という分類が存在しないことを理解することが重要です。実際には、主にニッケル基、コバルト基、鉄ニッケル基というそれぞれ異なる金属学的特性を持つグループに分かれており、それぞれに合わせた加工戦略が求められます。最も重要な違いは、加工硬化率、熱伝導率、研磨性相の存在、熱への反応といった要素にあり、これらが工具選定、切削条件、全体的な加工アプローチに直接影響を与えます。
これらの合金の根本的な違いは、強化機構と微細構造にあります。ニッケル基超合金(代表的なものにインコネル718やインコネル625など)が挙げられます。これらは高温下での高強度、酸化・クリープ耐性に優れており、γ'(ガンマプライム)またはγ''(ガンマダブルプライム)析出物の高体積分率によって強度を発揮します。しかしそのため、加工中に極端な加工硬化を起こしやすく、送り速度が低すぎたり、工具が同一点で停止したりすると、瞬時に表面が硬化して工具摩耗が急速に進行します。したがって、これらの合金を加工する際には、鋭利で正のすくい角を持つ工具を用いて、積極的かつ確実な切削を行い、切削ゾーンに高圧クーラントを供給して熱を制御する必要があります。
一方、コバルト基超合金(代表的なものはステライト合金)は、固溶強化されたコバルト-クロム基のマトリックスに非常に硬い炭化物を大量に含んでおり、その強度を得ています。これらはニッケル基ほど加工硬化しないものの、非常に研磨性が高いのが特徴です。最大の課題は、この炭化物による研磨摩耗です。炭化物が研磨粒子のように作用し、工具摩耗を加速させるため、非常に硬く耐摩耗性に優れた工具材料が求められます。具体的には、特殊コーティングを施した微粒超硬工具、あるいは場合によってはセラミック工具やCBN(立方晶窒化ホウ素)工具の使用が推奨されます。この場合、加工硬化対策から「極端な摩耗対策」へと戦略の重点が移行します。
これらの材料挙動の違いは、加工プロセスのあらゆる要素を左右します。ニッケル基合金の場合、焦点は熱管理と加工硬化の防止にあります。これにより、鋭利な刃先を維持できる研磨仕上げの超硬インサートと、強靭な母材、そしてPVDコーティングの使用が一般的です。切削速度は通常低速から中速(例:荒加工で20~50 SFM)に設定し、一定で安定した送りを維持して「加工硬化を先回り」することが重要です。
コバルト基合金の場合、工具選定の優先事項は最大限の硬度と耐摩耗性です。鋭い刃先は依然として重要ですが、母材とコーティングは絶えず発生する研磨摩耗に耐える必要があります。最終仕上げや難削形状には、フライス加工や旋削よりもCNC研削加工がより適している場合もあります。切削速度はニッケル基と同等かそれ以下に設定されることが多く、金属除去率よりも工具寿命の最大化を重視します。
鉄ニッケル基超合金(例:A-286)は、両者の中間的な性質を持ち、比較的加工しやすい場合もあります。これら異なる材料群に対応した豊富な経験を持つ超合金CNC加工サービスを選定することが極めて重要です。なぜなら、インコネルに最適な加工戦略がステライト加工では致命的な結果を招く可能性があるからです。
これらの違いは切削プロセスを超えて、後処理や材料の金属学的健全性にも及びます。ニッケル基合金の積極的な加工は、深い加工硬化層と高い残留応力を伴う表面を形成することがあり、応力除去および材料特性の回復のために後続のCNC加工用熱処理が必要となる場合があります。一方でコバルト基合金の場合、問題は加工硬化よりも、研磨摩耗によって誘発される微細クラックを防ぐことに重点が置かれます。
さらに、後工程として選択するCNC部品用サンドブラスト処理の条件設定にも注意が必要です。過度に強い処理は、薄肉のニッケル基部品に塑性変形を引き起こす恐れがある一方、剛性の高いコバルト基部品には適切に機能する場合があります。