試作から小ロット生産への移行は極めて重要な段階であり、そのリードタイムは一般的に3〜8週間と大きく変動します。この期間は単一の固定値ではなく、複数の連続または部分的に重なる工程の総和であり、部品の複雑さ・試作品の完成度・生産体制の効率によって左右されます。適切に実施された試作段階は、この全体のスケジュールを短縮する最大の要因となります。
プロセスは大きく3つの主要フェーズに分けられ、期間はプロジェクト特性によって異なります。
この段階は、初期の試作サービス部品が完成した時点で開始されます。進行速度はお客様のテストスケジュールに依存します。
短期トラック(約1週間): 試作品が完璧に機能し、設計変更が不要な場合、即座に量産設計を確定できます。
標準トラック(1〜3週間): 多くのプロジェクトでは小規模な修正が必要です。試作品の寸法測定、機能試験、設計微調整(DFM最適化)を行い、必要に応じて第2試作を実施して変更内容を検証します。
この段階では、実際の製造インフラを整備します。期間は部品の複雑さと使用プロセスに大きく影響されます。
単純部品/成熟設計: 基本的な3軸CNC加工のみが必要なシンプルな部品では、セットアップが迅速です。CAMプログラムの確定・検証、素材の手配などを含め、約1週間で完了します。
複雑部品/新規セットアップ: 多軸加工、専用治具、またはインコネル718のような難削材を伴う場合は、より時間を要します。治具設計・生産効率重視のツールパス最適化・特殊素材調達などにより、このフェーズは2〜3週間に延びることがあります。
この段階では小ロット部品の実生産が行われ、後処理や検査も含まれます。
ロットサイズと加工時間: 10〜50個程度の小ロットであれば、素材が入手でき次第、セットアップ完了後1〜2週間で加工可能です。
後処理およびリードタイム要因: 仕上げ処理の種類によって期間が大きく変わります。As-Machined仕上げや不動態化処理などの標準的な処理は短期間で完了しますが、熱処理(外注やロット認証が必要な場合)やPVDコーティングなどの特殊仕上げでは、追加で1〜2週間かかる場合があります。
品質保証: AS9102に基づく初回製品検査(FAI)や厳格な基準を要求する航空宇宙・医療機器分野の部品では、詳細な文書化が必要であり、数日〜1週間程度要します。
設計の安定性: 完全に検証された試作設計は最大の時間短縮要素です。
材料の入手性: アルミ6061のような汎用材料はすぐに入手可能ですが、希少な超合金や特殊樹脂はリードタイムが長くなる場合があります。
サプライチェーン管理: 当社はワンストップサービスとして全工程を管理しますが、メッキなど外注プロセスの複雑さがスケジュールに影響する場合があります。