プラスチック部品のCNC加工において不適切な加工パラメータを使用すると、過剰な熱の発生や高い機械的応力により、さまざまな欠陥が生じる可能性があります。金属とは異なり、プラスチックは熱変形温度が低く、粘弾性を持つため、切削力と温度に非常に敏感です。適切なパラメータの選定は、寸法安定性と外観品質を確保するうえで極めて重要です。特に、当社の試作サービスや量産サービスにおいては、消費財および医療製品の品質基準を満たすために不可欠です。
1. 溶融およびスミア(塗りつぶし) これは最も一般的な欠陥の1つです。主軸回転数が高すぎたり送り速度が低すぎたりすると、摩擦熱が過剰に発生します。その結果、ポリマーが軟化・溶融し、加工面に付着してスミア状の仕上げとなり、工具溝の詰まりや寸法精度の低下を引き起こします。特にABS樹脂やナイロンなどの熱可塑性樹脂では、この問題が顕著です。
2. バリの発生 直感に反して、プラスチックにおけるバリは熱による欠陥である場合が多いです。鈍った工具や送り速度が遅すぎると、切削ではなく擦り動作となり、材料が加熱されます。結果として、材料が軟化し、せん断ではなく塑性変形を起こして、切削端の出口側に糸状または巻き上がったバリが形成されます。
3. 内部応力およびクラック 加工中の熱は材料に局所的な応力を発生させます。冷却時にこれらの応力が解放されることで、微細なクラックやクレージングが生じる場合があります。特にポリカーボネート(PC)のような非晶質樹脂では、これらの亀裂は目視では確認できなくても、使用中の荷重下で破損を引き起こす可能性があります。
1. 欠けおよび層間剥離 送り速度が高すぎたり、切込み深さが大きすぎたりすると、過剰な機械的応力が発生し、脆いプラスチックが欠けたり割れたりすることがあります。複合材などの層構造材料では、層間剥離(デラミネーション)を引き起こすこともあります。これは、当社のCNCフライス加工で脆弱な部品を扱う際の重要な考慮点です。
2. 幾何学的誤差および反り 高いクランプ力や過度な切削条件により、加工中に部品が弾性変形を起こすことがあります。クランプを外すと、部品が元の形に戻ろうとし、許容範囲外の寸法誤差が発生します。同様に、加工中の不均一な加熱も、冷却後の内部応力の再分配により反りを引き起こすことがあります。
3. 表面仕上げの不良 不適切な加工パラメータは粗い表面を生じさせます。送り速度が速すぎると工具パスの痕跡が明確に残り、逆に回転数が低すぎるとビビりや振動痕が発生します。完璧な表面仕上げを得るには、最終的にCNC部品研磨サービスやその他の表面処理を実施し、加工痕を修正する必要があります。
• 熱を抑制するために: 研磨された鋭利な工具を使用し、主軸回転数(RPM)を下げ、送り速度を上げて切りくずによる熱排出を促進します。また、熱衝撃を与えずに熱を除去できるプラスチック専用の圧縮空気またはクーラントを使用します。
• 機械的応力を減らすために: 切込み深さを小さくし、刃あたり送り量を減らし、しっかり固定しつつ変形を防ぐクランプを使用し、クライムミーリング技術を用いてよりクリーンなせん断を実現します。
• 工具: 高いすくい角を持つ鋭利で研磨されたフルート形状の工具は不可欠です。大量生産では、当社の精密加工サービスを活用し、工具経路の最適化と特殊工具形状によって、これらの欠陥を事前に最小化します。