製造およびエンジニアリングの観点から見ると、316L ステンレス鋼および 7075 アルミニウムの 3D プリント後の強度レベルは、ダイレクトメタルレーザー焼結(DMLS)などのプロセスで形成される独特の微細組織の結果です。「造形まま(as-printed)」の特性は、鍛造材とは大きく異なり、特定の造形パラメータおよび後処理条件に強く依存します。
DMLS によって製造された 316L は、急速凝固によって形成された極めて微細なセル状組織および残留応力の影響により、焼鈍された鍛造材よりも高い強度を示す一方で、延性がやや低下します。
造形まま(DMLS)の典型的な機械的特性:
引張強さ (UTS): 500 ~ 700 MPa
降伏強さ (0.2% オフセット): 400 ~ 550 MPa
破断伸び: 30 ~ 50%
鍛造 316L(焼鈍)の比較:
UTS: 約 485 MPa
降伏強さ: 約 170 MPa
伸び: 約 40%
要点: 造形ままの DMLS 316L は降伏強さが大幅に高く(しばしば2倍以上)、優れた延性および耐食性を維持します。これにより、医療機器や航空宇宙分野など、要求の厳しい用途に適しています。
熱処理の影響: 応力除去焼鈍により内部応力が緩和され、強度がわずかに低下します。溶体化焼鈍(完全焼鈍)を行うと、組織が再結晶化し、鍛造焼鈍材に近い特性となりますが、降伏強さは大幅に低下し、延性は最大限に回復します。
7075 アルミニウムの場合、状況はより複雑で、レーザーベース粉末床溶融方式では大きな課題があります。7075 は高強度析出硬化型合金(主成分は Zn)であり、DMLS の急冷過程で熱割れおよび凝固割れが発生しやすいという問題があります。
造形まま(DMLS)の典型的な機械的特性(割れのない場合):
引張強さ (UTS): 200 ~ 350 MPa
降伏強さ (0.2% オフセット): 100 ~ 250 MPa
破断伸び: 1 ~ 5%
鍛造 7075-T6 との比較:
UTS: 約 570 MPa
降伏強さ: 約 500 MPa
伸び: 約 10%
要点: 標準的な DMLS 7075 は、鍛造 T6 材と比較して強度・延性が著しく低く、微細割れによる低密度で脆い部品になる傾向があります。
特殊なアプローチと代替材料:
ナノ粒子機能化: 7075 粉末に Zr や TiB₂ などのナノ粒子をコーティングして核生成を促し、微細結晶粒を形成して割れを抑制する研究が進んでいます。これにより、時効後に 500 MPa 程度の UTS を達成できる可能性があります。
DMLS 用代替アルミ合金: これらの理由から、高強度 DMLS アルミニウムの業界標準は AlSi10Mg または Scalmalloy® です。
AlSi10Mg(造形+時効処理):UTS 約 400 MPa、YS 約 250 MPa。軽量性・強度・造形性のバランスに優れます。
Scalmalloy®(Al-Mg-Sc 系専用合金):UTS 約 520 MPa、YS 約 480 MPa、伸び 約 10%。現在、DMLS 向けに実用化されている中で最も高強度なアルミニウム合金です。
材料・状態 | 引張強さ (MPa) | 降伏強さ (MPa) | 伸び (%) |
|---|---|---|---|
316L(DMLS 造形まま) | 500 - 700 | 400 - 550 | 30 - 50 |
316L(鍛造・焼鈍) | 約 485 | 約 170 | 約 40 |
7075(DMLS 造形まま・割れなし) | 200 - 350 | 100 - 250 | 1 - 5 |
7075(鍛造 T6) | 約 570 | 約 500 | 約 10 |
AlSi10Mg(DMLS+時効) | 約 400 | 約 250 | 約 5 |
Scalmalloy®(DMLS+時効) | 約 520 | 約 480 | 約 10 |
エンジニアリング指針: